今や全国に広がったルーキーリーグ。
ルーキーリーグは関東を発祥としています。
1998年ころを頂点として関東の指導者たちはある課題を議論していました。
「1回負けたら終わりのトーナメントで本当に高校サッカーは強化できるのだろうか」。
日本の高校サッカーに、まだリーグ戦文化が根付いていなかったときの話です。
総当たりのリーグ戦とは違い、トーナメントは1回戦で強豪校と当たってしまったらそこで大会は終わりです。本気の試合数を積んでいけるのは、本当に一握りの強豪校ばかり。それでは本当の強化にはつながらないのではないかと考えた先生方が、プライベートのリーグを作りました。
それが関東スーパーリーグです。
このリーグを基に公式戦として現在のプレミアリーグやプリンスリーグに成長、発展していきました。
高校サッカーにリーグ戦文化が根付くにつれ、ワールドカップなどでも日本は以前よりも良い成績を収められるようになってきました。
次の課題は、1年生の強化でした。
1年生はボール拾い。走りの練習。声を出す役目。やっとボールに触れるのは、先輩の練習が終わった後。チームや連携を練習できるのは、3年生が引退してから。ちゃんとした試合に出られるのは、自分たちが3年生になってから。そんな風潮がまだ部活に残っていました。これでは強化につながらない、と判断した先生方が行動を起こしたのです。
何校かの先生が「高校1年生のリーグを一緒にやろう」と高1世代のリーグを始めました。
この時代は地域を超えて、東海地方の強豪校も一緒にリーグを行っていました。
現在も関東ルーキーリーグU-16に静岡県の高校が入っているのはその名残です。
真剣に強化を行い、全国の頂点を目指す高校が集まって始まったリーグでした。
このリーグが現在の関東ルーキーリーグU-16です。
関東から全国へ
2016年、当時の流経大柏高校の本田裕一郎監督(現・国士舘高校テクニカルアドバイザー)が全国に呼びかけました。
「全国の各エリアでルーキーリーグをやらないか。横のつながりを持って、エリアだけのリーグではなく、全国で高校1年生を強化しよう。」
全国には独自にルーキーリーグを行っているエリアもありました。まだ体系立てて行われていないエリアもありました。
「練習試合ではなく、真剣勝負をする場としてのルーキーリーグを一緒にやろう。勝ち抜いたチームにはチャンピオンシップへの出場権を与えようじゃないか。高校1年生からチームを作り、若い指導者も育て、高校サッカーをもっと強くしよう。」
本田監督の呼びかけに答え、全国各地のルーキーリーグが徐々にその形をなし始めました。
事務局も発足したことにより、「リーグの運営を担当してしまうと自校の試合が見られない」「組織化、ルール作り、協賛金の有効活用まで手が回らない」という先生たちの悩みも解消されました。規模がどんどん大きくなっていくうえで、大変重要な一歩でした。
当時オリジナルでリーグ戦を行っていた中国地域。
立ち上げたばかりだった関西地域。
九州、四国、東北、北信越、北海道と全国がそろったのが2019年。
各リーグの優勝・準優勝チームが参加するチャンピオンシップも始まり、各地でバラバラだった試合時間、交代人数や順位の決め方などのルールが統一されました。
新規参入にも規定を設けました。
そして「全国ルーキーリーグ事務局」は「ルーキーリーグジャパン」と改称しました。
2020年、社会は新型コロナウイルス一色になりました。
各地でやり方を模索しましたが、医療体制などの事情から途中で中止になってしまうリーグもありました。
しかし、綿々と続く監督たちの「高校1年生から強化したい。それが日本のサッカーを育てる」という思いを体現するために、今年もルーキーリーグは続いていきます。
お話を聞かせてくれた人
ルーキーリーグ
理事長 阿山 恭弘